PBN No.152コラム「アスンシオンに起こる、“音楽フェスティバル”ブーム 」
日本では夏の風物詩ともいえるほど、現在は多く開催されるようになった大規模音楽フェスティバル。アスンシオンでは今、“Jockey Club”や“Espacio IDESA”などの広大な敷地を活用して、複数のアーティストを招き、音楽フェスティバルが開催されている。
11月8日にJockey Clubで行われた“Personal Fest 2018”では、イギリスのPOPシンガー“Robbie Williams”が出演し、話題になった。
11月24日にはアルゼンチンのコルドバを拠点に、メキシコ、ペルー、ウルグアイ、ボリビア、コロンビアなどラテンアメリカ全土でイベントを展開をする“Cosquín Rock”フェスティバルのパラグアイ初開催となった。このイベントのテーマは“ロック・ラティーノ(ラテン・ロック)”であり、出演者はラテンアメリカのロックバンドや、アーティストであることに注目したい。
今回、“Espacio IDESA”で開催されたこの音楽フェスティバルのヘッドライナーを務めたのは、スペイン系移民2世のフランス人シンガーソングライターであり、ロック・ラティーノの先駆者Manu Chao氏である。フランス初の近代ロックバンドと言われた“Mano Negra”を率いたボーカリストとして知られる同氏は、当初から南アメリカの貧困及び先住民族問題に取り組み、幾度もラテンアメリカを訪問してきた。
しかし、唯一パラグアイに訪れておらず、今回が初公演ということで、多くの期待が寄せられた。現在、ソロ名義での活動を行う同氏の多くのアルバムは、フランス及びヨーロッパ全域でゴールドディスク、もしくはプラチナディスクとして認定されており、楽曲にはスペイン語のみならず、フランス語や英語などの多言語を用いている。イギリスやアメリカのヒットチャートを賑わす音楽家達がこぞってラテン音楽を追い求めた80年代から90年代にかけ、世界に多大な影響を与えた人物として、彼は日本でも評価が高い。
また世界的に、キューバ音楽やレゲエ、クンビアやレゲトンを含むラテン音楽への評価が高いにも関わらず、パラグアイでは、まだ“輸入物”、もしくは“白人音楽”に憧れを強く持っている。この“Cosquín Rock”フェスティバルの到来で、今後、パラグアイでもラテンアメリカのアイデンティティを持った、新しい音楽が成長していくことを期待したい。
他にも、秋までに多くの音楽フェスティバルの開催が予定されているが、パラグアイの大規模音楽フェスティバルの先駆けとなった“Asuncionico”は、来年3月28日と4月2日、“Espacio IDESA”で開催が予定されている。
Cosquín Rockのステージ
2つのステージを設けることでセッティングの待ち時間をなくし、スムーズ進行を目指した。
熱狂する人々
フェスティバルのヘッドライナー、Manu Chao