PBN No.221コラム『デリバリーアプリ「Monchis」』

　コロナウイルス拡散防止のための政府決定により、自宅待機を強いられる日々が続いている。食料品や衣料品の買い出しの為の外出は許可されているとはいえ、リスクを考えると気分が重くなることもある。外食をしたり、散歩をしたり、当たり前のことができない現状が続く今、一日中閉じこもってばかりでは、本当に気分が滅入ってしまう。

　今回は、この状況下で便利なデリバリー・サービスを紹介したい。外出制限が適応されてからは、各スーパーではデリバリーの注文が殺到した。現在も大手スーパーなどは配送まで3日待ち、さらに時間を要する場合もある。これでは夕食の材料すらまともに揃えられない。また朝昼晩と調理をし、殺菌効果のある掃除用具で家を毎日きれいにし、学校に行けない子供に先生になり代わって宿題をさせる必要があるため、普段以上に疲れがたまるといった主婦の声も聞こえる。

　終日家にいるとしてもリラックスには程遠く、むしろ家族や恋人とディナーに出かけるリフレッシュ・タイムを奪われているのが現状である。付け加え、日々のニュースは恐怖心を煽り、国中が、いや世界中がうつむき気味になっている。

　こんな時には、音楽や文学、映画などといった芸術が私達の心を少し明るくしてくれるだろう。世界中のアーティストがインターネットを通じ、自宅から配信を行ったり、美術館などでは所蔵作品のデータを公開したりと、この状況を乗り切るための工夫を凝らしている。食もまた、私達を満足させてくれる芸術の一つだろう。家にいながら、有名店の料理を口に出来たら、いつもとは違う特別な雰囲気を味わうことができる。

　パラグアイにもMonchisやPedidosYaといった日本の楽天デリバリーや出前館のような独自のサービスがある。今回はMonchisを利用して、最近人気のバーガーショップBurme’iのハンバーガーを注文してみた。まずはアプリをダウンロードして、住所や連絡先などの必要な情報を設定する。すると、住所から自動的に配達可能な営業中の店舗が検索されるので、各店舗のメニューや値段を比較して好きなものを注文する。

　配達時間は30分から60分、デリバリー料金は7,000Gsから25,000Gsぐらいで、店舗によって異なる。最低注文料金を設定している店舗も多い。配達場所によって表示店舗は異なるが、セントロ地域だと老舗レストランのBolsiやエンパナーダのSanta Fe、パスタのBelliniなどの有名チェーン店、メキシコ料理に本格ピザ、創作寿司や中華料理に日本でもお馴染みのピザ・ハットやバーガー・キング、リーズナブルなロミテリアに至るまで、価格もスタイルもその日の気分に合わせて選ぶことができる。

　支払いはカードと現金から選択でき、受け渡し方法も指定できる。クレジット決済の際は、コロナウイルスの感染予防のため、「玄関先に置く」というオプションまである。

注文を確定すると、配達までの時間が表示され、店舗の連絡先も確認できるようになる。今回注文したBurme’iでは、注文確定後に確認の電話をくれた。スムーズな対応には好感が持てる。商品は予定時間よりも早くに到着した。日本のデリバリーのように保温対策は万全ではないようで、できたてほやほやとは言えないものの、充分に満足のいく内容だった。

　家にいながら、人気の店のハンバーガーを食べられることは、この規制下の状況で有難い。注文手順は簡単で登録店舗数も多いので、ショッピングモールのフードコート感覚で利用できる。マイナス点を挙げれば、やはり配達料金の上乗せとミニマム料金である。家族分を注文するなら気にはならないが、一人分の注文では負担は大きくなる。とはいえ、続く外出規制の中で、まだまだ不安がある現状で、こういったデリバリー・サービスは本当に有難い。世界中で、多くの人がコロナウイルス感染症に苦しめられ、不安を抱え、日常とは言えない毎日を送る中、美味しいもの、美しいもの、五感を刺激するものへの需要は増していく。

　些細なことであれ、こんな時こそ、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、私達に備わった感覚を満たしてリラックスすることで、制限の中でも豊かに生きることができると思う。13日以降、段階的に解除されるという営業制限ではあるが、今のところまだ詳細は分かっていない。学校においては閉鎖が続くとも言われている。そんな状況の中で今後も需要が高まっていくであろう、デリバリーアプリの今後の展開に期待したい。恐怖の中で不信感を抱くより、独りよがりになるより、ささやかな豊かさを感じられる時間を大切にしたいものだ。TT