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PBN No.223コラム『牛肉輸出は大繁盛 畜産業に大きなビジネスチャンス?』

 今、世界的なコロナウイルス感染症によってパラグアイでも外出禁止令が出され、街中は閑古鳥が鳴く状況にある。今朝のニュースでは、パラグアイ政府には5月以降の経済維持プランがまったくないと言っていた。今は世界中似たり寄ったりで、じたばたしても仕方ない状況であるから、都市に暮らす市民はじっとおとなしく待機するしかない。 


 しかし、パラグアイの経済は、電力に続いて、農業、畜産業といった食料生産が収入源の大きなウェイトを占めており、これらの分野の活動は継続しているため、今回の事態でも生産性はあまり落ちていない。サービス業や工業化の比率が高い国に比べ、パラグアイは比較的損害が低い国と言えよう。

一例として、パラグアイ北部のコンセプシオン県にあるFrigorifico Concepcionは、現在も畜産農家、牧場、そしてこの産業に関わる街全体が、活発に仕事を続けている。ここはパラグアイ最大の食肉加工工場で、4月16日現在の情報では、1日2,500頭の肉牛を屠殺し、精肉カット処理、加工処理などをした製品を世界中に輸出している。 


 食料は止めるわけにはいかないどころか、以前よりも需要が高くなっているというのである。大豆やその他の農産物も同様である。 これは、世界最大の牛肉輸出国だったブラジルが衛生管理規制にぶつかり、食肉製品と特に加工食品に大きなブレーキがかけられた結果、パラグアイに注文が回ってきたことが理由である。

 牛肉の輸出世界一位のブラジルは、アメリカ、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアそしてパラグアイの食肉加工工場を次々と買収してきた。現在ではアメリカ大陸の主な食肉工場はブラジル資本のものになっており、パラグアイでもメノニタ系と農協系列の中小規模の工場をのぞいて、国内14か所の約70%がブラジル資本となっている。 世界最大規模の食肉企業になったMINERVA FOODは、ブラジルに11の巨大工場を持っているが、パラグアイでも14か所中7つを買収しており、パラグアイでの食肉加工販売量は、年間16万2千トンになる。


 Frigorifico Concepcion は、ブラジルサンパウロで食肉処理業をやっていたJail de Limaが、MinervaやJBSとの競争に押されてパラグアイに移転してきたもので、現在この工場から欧州、ロシア、ブラジルなどに輸出されており、今年の1月からはサウジアラビアにも輸出が契約成立した。 現在はもう一か所に新設し、合わせて2か所の工場で年間約10万トンの牛肉を生産している。

 一方で、国際経済の専門家によると、中国経済が破綻もしくは弱体化し、世界規模での産業競争が拡散増大する可能性が高い。すると、マキラ制度で有利な条件をもち、人件費も低いパラグアイへの産業進出がラッシュ化する可能性が出てくる。


 今回のコロナウイルスの影響でアメリカ、中国、インド、ロシアなどの大国が弱体化し、小国で被害の比較的少なかったパラグアイなどが活躍できるチャンスが大幅に増える可能性がある。これを活かすも殺すも、この国の舵をとる指導者たちと、民間企業のビジネスマンたちの采配に係ってくるのである。 

今回、パラグアイには大きなチャンスがある。歴史上でも、戦争や経済破綻などの大事件の後に、弱小だった国が台頭してくるのが繰り返されているのだ。それを掴むためにも、頑張って今を乗り越えよう。 G.l. 


パラグアイ最大の牛肉加工工場

Frigorifico Concepcion


1日の処理頭数 2,500頭

肉処理量;骨なし精肉 400 t/日

直接雇用者数: 2,000人

間接雇用者数: 5,000人

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