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PBN No.149コラム「パラグアイの建築家:ハビエル・コルバラン」

 彼は、建築家として多くの国のプロジェクトなどに携わりながら、カトリック大学とアスンシオン国立大学の教員として、学生に建築を教えている。彼の建築は、建築材料をリユース(再利用)したり、日常的に現地で使われる低コストの材料が秘めている可能性を探りながら、実験的な建築をデザインしている。

 彼の監督した建築は、レンガの積み方や扉のデザイン、空間の切り替わり方など、一つ一つの要素を固定的概念にとらわれず、彼なりの手法で解いていることが見えてくる。その解き方からは、街のどこにでも見られる素材ひとつひとつが生き生きしてくるように見えてくる。それらに使われている素材や技術は、必ずしも最新もしくは未来的なものではなく、他国とくらべると、近代化、都市化が遅れているパラグアイの良さが引き立つところが魅力的だ。

 世界において比較的建設技術に乏しいパラグアイでは、いわゆる素敵な建築を希望した場合、ほとんどの高所得者は建築家のクライアントになる。そのような社会において、彼のスタイルは、パラグアイの建築のこれからの道を近代的に進歩した国とは違う方法で切り開いているようにもみえる。

 そんなパラグアイの優れた建築家であるJavier Corvalan は、2018年第16回ヴェネチアビエンナーレ国際建築展で、世界各国から集められた10人の建築家がそれぞれチャペルを設計するというプロジェクトの一人に選出された。ここでコルバランが建てたチャペルの主なボリュームは、直径約12メートルの内側と外側からなる2つの円形である。

 この円は、ひとつの支点によって宙に浮いているようにみえる。チャペルが建てられた街はとても大事に保護された環境にあり、その地面にできるだけ触れないよう計画された。また、一般的なチャペルの入り口に扉があるのとは異なり、自然に傾いた円の動きと位置によって人々がそれぞれの体の大きさに合った入り口を視覚的に認識する。

 これらの構築システムおよび建材として選ばれた木材は持続可能性と低環境負荷を重視しており、周辺環境をよく考えられたチャペルを実現した。

 このハビエル・コルバランのような独自性に富んだスタイルを持った何人かの建築家がパラグアイの建築界で大きな活躍をしている。残念ながら現在のパラグアイには、建築系のメディアが少ないため、建築に携わらない人々が一般的に社会で耳にする機会が少ないかもしれない。しかし、代表的は建物を調べにいくのも楽しいかもしれない。是非多くの人々に彼らの活躍を知ってもらいたい。

ヴェネチアビエンナーレ国際建築展での作品、Colvaran Chapel

ルケ市にあるパラグアイゴルフ協会の競技場:

グアス・メトロポリタの公園付近の道路沿いからこの姿を見ることができる

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