PBN No.135コラム「パワースポット?!トバチ展望台」
市内の至る所で一眼レフを抱える若者を目にする様になった近年のパラグアイ。高性能カメラ付きの携帯電話やデジタルカメラの普及で、国内の観光地が再注目されている。撮影ロケーションとしてふさわしい場所には多く若者が訪れ、ポーズをとり、撮った写真はSNSなどを通じて拡散する。
首都アスンシオンから車で約2時間、63kmのCordillera県にあるTobatí市。この市の玄関口となる、Mirador Tobatíという展望台が観光客の人気を集めている。バスでのアクセスもよく、首都から日帰りのミニ旅行として、カメラを持った若い観光客の姿が見られる。
Tobaí市は窯業や民芸品の生産地として有名だ。Caacupéを越えると大きなレンガの窯があちこちに姿を現す。粘土質の土が焼き物に適しているという。その他にも木彫りや彫刻などの木工芸や籠や帽子などのバスケット編み工芸など多くの民芸品が作られている。
そんなTobatí市の展望台には、民芸品の販売テントを併設している。木製品への名入れ加工や、民芸品の展示販売を行なっている。展望台といえども、塔が建っている訳ではない。高さ数十メートル程度の小さな岩のようなもので、自然の岩や地形を利用して作られている。しかしながら、階段や坂道は整備されているので、小さい子供でもアスレチック感覚で気楽に登る事ができる。
この展望台の登り口には、大きな“3つの顔”の彫刻が並んでいる。この地に初めて入植した人々という彼らの顔が白かったことから、先住民の言葉グアラニー語でtoba(顔)+tí(白い=morotíの接尾語tí)という名前がつけられた。
登り口から階段を上ると、すぐに展望台の頂上に到着する。ここは一部、観光用に整備されているが、その奥にも岩山が見える。展望台の下からは想像もつかないほど広大な空間で眺めもよく、周辺の大自然を一望できる。何もない高い丘の上を独り占めした様な気分は、なかなかどこでも味わえるものではない。
また、近隣の小さな山々の風食により美しく彫刻された岩肌は、それだけでも絶景と言える。パラグアイの典型的な田舎とはやや異なる独特の景色はドライブするだけでも気持ちが清々しくなる。パラグアイのパワースポットと言えるTobatí市、都会の喧騒に疲れた時にお勧めしたいスポットである。TT
3つの顔の彫刻
整備された階段。やや勾配は有るが、お年寄りから子供まで気軽に上る事ができる。
展望台、人気の撮影スポットでもある。
展望台の奥に広がる広大な自然