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PBN No.111コラム「パラグアイ牛肉の日本向け輸出の可能性について」

西 野 重 雄

JICAシニア海外ボランティア

国立家畜品質・衛生機構(SENACSA)

  現在、パラグアイ牛肉は日本向けに輸出されておりません。パラグアイでは口蹄疫のワクチンが接種されており、その発症が2012年以降、認められていません。しかし、日本向け輸出を可能にするには、口蹄疫の清浄化(ワクチンの接種無しで発症が無いことを確認、モニタリングで抗体が認められない)を図り、二国間で家畜衛生条件を締結する必要があります。

 現在、パラグアイの牛肉は65ヵ国に、牛臓器は30ヵ国に、食用畜産物は15ヵ国に、非食用畜産物は33ヵ国に輸出されており、2017年の牛肉輸出は約25万トン、その他家畜の肉、臓器、畜産物等の輸出量は約26万トンでした。牛肉の主な輸入国は、チリ(8万トン)、ロシア(6万トン)、ブラジル(3万トン)、ベトナム(1.6万トン)、イスラエル(1.5万トン)です。臓器、畜産物の輸入国は、ロシア(1.3万トン)、ベトナム(0.9万トン)と続いています。量は少ないですが台湾向けもあります。また香港向けが検討されており、米国は、将来の口蹄疫清浄化(ワクチン無し)を見据え輸入調査に入っています。(情報源: Informe Final SENACSA 2017、 Estadística Pecuaria Anuario 2016、SENACSA)

SENACSAは輸出用食肉処理場をSENACSA食肉衛生法令に基づき認定しています。係官が常駐し、生体家畜と体の衛生管理を始め、危害分析重要管理点HACCPに基づく総合衛生管理製造過程の衛生管理を実施しています。SENACSA法令に基づくとともに、輸入国の衛生条件に従い、水、施設のふき取り、畜産物等をSENACSA本部に送付し、細菌学試験、生化学試験、残留物検査等を行っています。

 現状で日本向けにパラグアイ牛肉を輸出するとすれば、衛生条件を締結し、加熱処理肉を日本の基準に従った施設で、加熱基準に従った処理をすれば、輸出できる可能性があります。現在、パラグアイには加熱処理施設を持つ食肉処理施設はありません。またパラグアイ国内の加熱処理肉需要は、今のところ無いようです。なので、日本または他国向けに、基準を満たした施設を設立する投資が行われる場合、輸出の可能性が出てきます。周辺国で、日本政府が指定する加熱処理施設を所持しているのは、アルゼンチンで2カ所、ウルグアイで4カ所、ブラジルで4カ所です。

また、中南米諸国ではグアテマラ、コスタリカ、チリ、ドミニカ共和国、ニカラグア、ホンジュラス、メキシコ等において日本との間で家畜衛生条件が締結され、牛肉が輸入できるようになっています。(詳細は動物検疫所HP 畜産物の輸入条件の項参照)これらの国々では、口蹄疫がすでに清浄化(ワクチン接種なし)されています。

 パラグアイの牛肉の質もネロ-レ、ブラ-マンと言ったセブ-系だけでなく、アングスとブラ-マンの混血であるブラングスも生産されているほか、その肉質も上がっており、「和牛」と称した牛肉も生産されています。個人的にはオージービーフや、米国産ビーフに引けをとらない味を出していると感じています。この先、口蹄疫が清浄化されワクチンが停止された暁には、日本向けのパラグアイ産牛肉にかかる条件が整うものと期待しております。

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