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PBN No.108 コラム「ゴミのポイ捨て”への取り組み・イタ湖」

 アスンシオンから国道1号線を35kmほど南下した町・イタ市。そこにある、南米唯一の本格的日本式城郭「前原城」こと「御影城」は、日本人観光客にも知られている。

 そのイタ市の中心部近くに“Parque de la laguna”という小さな湖の公園がある。一見どこにでもある普通の水辺公園ではあるが、“パラグアイカイマン”という種類のワニのいる湖の公園として、観光客や地元住民に人気がある。そんな小さな観光スポットで、ある取り組みが行われている。そこには、”¿Laguna o Basurero?(湖?それともゴミ箱?)”と書かれた看板が大きく掲げられ、いたるところに、ゴミのポイ捨て禁止の張り紙や注意書きが見られる。

 日本から地球の裏側パラグアイを訪れると、カルチャーショックを感じることは多々ある。中でも悪びれもなく、ゴミをポイ捨てする姿には誰もが驚きを隠せないであろう。これは“意識”ではなく“習慣”の問題であり、実際パラグアイの人はポイ捨てに関して問題意識を持っていない。

 要は、禁止されないから捨てる、ただ単に捨てる…それが当たり前で、環境に対する教育やポイ捨てへの罪悪感が無いのである。バスや車から飲み終えたペットボトルを投げ捨てる。吸い終えたタバコを競い合うように遠くまで飛ばす。食べ終えた菓子の袋をその場に放置する。日常至る所で見かける光景である。そんなパラグアイの習慣に、注意を喚起させる公園の張り紙の持つ意味合いは大きい。

 徒歩で5分もあれば一周できるほどの小さな湖、“Laguna de Ita(イタ湖)”は市のシンボルとして、古くから逸話によって語り継がれ、住民から愛されている。40〜60匹のワニが生息し、運が良ければ体長1mを越える大きな個体に遭遇することもある。動物園とは違い、自然の中でワニを観察でき、水中を泳ぐ姿、捕食風景なども間近で見ることができる。

 ワニを気軽に観察できる世界でも稀な公園、その生態系を守るべく、ポイ捨て防止の取り組みは徹底されている。湖面にはゴミもなく、他の観光地に比べ、清掃員による掃除も隅々まで行き届いている。とはいえ、一周している間に、新しいゴミが投げ捨てられることもある。市民もしくは観光客の一人一人にまでは、意識共有されていない現状がある。意識を変える、もしくは植え付けることは容易ではないと痛感する。

 公園には小さな遊園地もあり、観光シーズンにはゲームやアトラクションも楽しめ、地元住民が家族連れで、また観光客の人気スポットにおいて、ポイ捨て禁止を促し、湖を守る取り組みが今後加速することを期待したい。素晴らしい自然を誇るパラグアイだからこそ、ここに暮らす私達が、その恩恵に感謝し、資源を大切に、意識を持ち行動せねばならない。

 湖近辺には、大きな町営市場があり、小さな商店、土産物屋などが立ち並ぶ。首都から1時間弱、蜂蜜の町、日本式城郭を望める町、逸話の残る小さな湖でワニを観察できる町、イタ市で自然に触れゆっくりと休日を過ごしてみるのはいかがだろう。TT

Parque de la Laguna (Laguna de Ita)

Mariscal Estigarribia y Curupayty

http://www.bienvenidoaparaguay.com/showdata.php?xmlcity=3&xmldestino=12

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