PBN No.107 コラム「進展するパラグアイのネットインフラ!」
1月4日、年が明けてすぐ国家電気通信委員会(CONATEL)は第四世代(LTE)サービス向けの700MHz周波数帯の競売を行い、パラグアイの携帯通信大手3社CLARO、PERSONAL、TIGOが総額8,454万ドルで落札した[1]。これによって3社は2018年中にデータ通信サービス専用のLTE電波網を拡大し、サービス向上が見込まれる。
従来のLTE用バンドは周波数が高く、信号減衰も著しく都市部でのトラブルが多かった。新たに加わった700MHz帯では信号劣化によるトラブルが大幅に減り、更に地方や農村地域にもサービス圏が広がるであろう。
端末に関しても、従来から使われてきたAWSバンドをサポートしている機種の多くが700MHZ帯でも使用できる。SIMフリーのIPHONEであれば日本でもパラグアイでも利用できるはずである。
付表が日本とパラグアイで使用されているLTEバンドのまとめである[2、3]。
ビジネス用途のITインフラ:
インターネットアクセス網に関しては、それぞれの通信事業体が都市部でのPON形式の光アクセス網の構築し、真の自由競争が始まれば光サービスの値下げも期待できるはずである。
国内のインターネット事業者(ISP)間を結ぶIXP(インターネット・エクスチェンジ・ポイント)も、2016年末から構築と各事業者の接続が開始されている。今後、国内コンテンツ・アクセス面で更なる改善が期待される[4]。
またクラウド化でサーバー/サービスのホスティングのアウトソーシング化が高まる中、TIGO社が2016年11月に投資額1,200万ドルのティア3のデータセンターを落成した[5]。このクラスのデータセンターはパラグアイで唯一であり、既にNetflixやGoogleは利用中だが、同時期に運転が始まった国内のIXPと共にパラグアイのITインフラは大幅に改善された、と言える。
現在、日本で運営されている大手データセンターのサービスレベルは3〜4(数値が高い方が良い)でありTIGO社も引けを取っていない[6]。2018年にはハウジングと仮想化(IaaS)のサービスを強化し、インフラを増設拡張する予定である。
エンドユーザの視点から見た稼働信頼性も、2社以上のインターネットアクセスを引き込むことで冗長構成ができ、高い稼働率を狙えるだろう。
今後、IXPを介した事業者間通信の親和性がどのように発展するかによって、競争力あるICTインフラに成長するか否か気になる。YM
参考文献:
[1] https://www.conatel.gov.py/index.php/incio- new/432-conatel-logro-ingresos-de-us-84-540-000-en-la-subasta-para-expandir-la-telefonia-4g
[2] http://kakuyasu-sim.jp/band
[3] https://www.apple.com/iphone/
(アップルの公式ページではモデルを選択、右上のメニューから「Tech Specs」にアクセスすると詳細スペックを表示でき、細かい無線規格を調べられる。)
[4] http://www.ix.py/
[5] http://infonegocios.com.py/infotecnologia/tigo-tiene-el-primer-centro-de-datos-del-pais-con-certificacion-tier-iii
[6] http://www.jdcc.or.jp/list/datacenterlist.php
◎は重要なLTEバンド。○はそこそこ重要であるが代用可能。△はあまり重要で無い。