PBN N.76 コラム「ココナッツのマテ・ドゥルセ」
5月に入り寒い日が増え、曇りや雨の天気が多くなるこの季節、アウトドア派も室内で過す時間が増える。体を動かす時間が減っても進むのが食であり、この時期、筆者も職場でおやつを食べる回数が増え、午後のカフェの時間は、近所の喫茶店からチーパやベジュ、パリットやロスキータを買って食するようになる。 今回は、パラグアイ伝統のおやつに合う飲み物、マテ茶を紹介する。マテ茶といってもバリエーションが多く、意外に奥が深い。 ご存知の通り通常のテレレやマテは、マテ茶(茶葉)をグアンパ(木、角、金属でできたコップ)に入れ、金属製ボンビージャ(茶漉し付きストロー)で、 暑い時は氷水、早朝や寒い時はお湯で飲むのが定番である。パラグアイではどちらもノンシュガーで戴き、好みで薬草をブレンドするので、子供向きではない。日本茶と比較すると味もこく、特にお湯で飲むマテは少し苦味がある。
今回紹介するのはマテ・ドゥルセ、直訳すると“甘いマテ”であり、暖かい飲み物である。 パラグアイ伝統の飲み方は、グアンパにマテ茶の代わりに砕いたココナッツの実(ボカジャ・クイ)を入れ、暖めた甘いミルクを注ぎ、マテ同様にボンビリャで飲む。この甘いミルクもタダの砂糖入りミルクではない。砂糖を鍋で焦がし、飴色になったら牛乳を足して、足りない甘味を砂糖またはステビアなどで補い、好みでシナモン、バニラまたはアニスで風味を加え、ポットに移して飲む。こちらもテレレやマテ同様に、アミーゴスやワークメイトと輪になって、回し飲みを楽しめる。 使用するココナッツの実(ボカジャ・クイ)はアスンシオン近郊にも自生する植物だ。ブラジルのココナッツと違いサイズは、ピーナッツより一回り大きい程度で、硬くまん丸である。このシーズン、路上でもよく見かけ、写真右下のように粉砕した自家製のものが、袋詰めで売られている。
もちろんスーパーマーケットで売られるブラジリアン・ココナッツの粉末を代用しても良い。ココナッツの好きな方は、是非試してみてはいかがでしょうか。またココナッツの代わりに、炒って粉砕したピーナッツでも頂ける。 もうひとつ定番のマテ・コシードはカップで飲み、回し飲みはしない。こちらはパラグアイの朝食や午後のおやつの代表的な飲み物で、特に寒い時期はお勧めである。コシードは路上や喫茶店でも売られ、ティーバッグもあり手っ取り早く飲め、少しポピュラーに感じられる。是非、こちらも飲んで戴きたい。YM