芸術の春、新たな文化のムーブメント
パラグアイは、例年ならすでに夏に突入し、暑い日々が続く頃だが、今年は涼しい夜が続き、“春”の気配がまだ残っている。
経済発展著しいパラグアイだが、「芸術・文化」面は、まだ富裕層や生活に余裕のある人のもので、国民全体には、馴染み薄いもののようだ。しかし、徐々ではあるが、芸術・文化への新しい取り組みが見られる。11月に開催された、イベントを紹介する。
アスンシオン国際ジャズフェスティバル「ASU JAZZ」:
ジャズフェスティバル全景:ドローンが映し出す迫力あるライブ映像
ブラジルのジャズトリオ:筆者お気に入りのバンド
今月18・19日、セントロの“Plaza de la democracia”会場で、第一回国際ジャズフェスティバルが開催された。アスンシオン市観光文化局主催で、文化イベントによる公共空間の活用、市民の交流、自国アーティストの発展を目的とし行われた。(公式HP:http://www.asujazz.com)
出演アーティストは、国内はもちろん、南米各国(ブラジル・ウルグアイ・ペルー・アルゼンチン)やスペインからも招待し、12グループが演奏した。
何より驚かされたのは、立派なステージだ。観覧は無料で、自由入場にも関わらず、有料ライブに負けないステージが設営され、ステージ両脇のスクリーンに、ドローンによる上空からの迫力あるライブ映像が流された。
このようなイベント開催の動機は、メディア出身の新市長の就任が大きいのだろう。
総合文化祭、音楽から食事、スポーツ、芸術など「Asuncion en las Calles」:
翌20日、向かいの“Plaza O'leary”で、文化庁、スポーツ庁、アスンシオン市などの主催で、音楽・食事・スポーツ・芸術など幅広い文化を取り入れた総合文化祭が行われた。前日のジャズフェスティバルと打って変わって、ロックバンドメインのライブステージとなり、立ち見スタイルで大勢の音楽好きがリズムに体を揺らしていた。
残念なのはライブなのに、観客のノリが悪いことだ。踊りだす者も、手拍子や歓声も少ない。チップを出す人も少ない。
アスンシオンのセントロで、毎週日曜夜、行われていたジャズの路上ライブを思い出す。技術の高い演奏には驚いたものだが、ジャズフェスティバルではその路上ライブ奏者が、立派なステージで見事な演奏を見せていた。
パラグアイの芸術・文化の芽吹きを感じ、さらなる発展に期待している。KT
総合文化祭の様子
野外イベントで急増しているキッチンカー