2016年 ラテンアメリカは引き続き景気停滞
チリのサンティアゴに本部をもつ、ラテンアメリカ経済の専門調査機関である、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 (CEPAL)のアリシア・バルセナ事務局長は、マスコミに対し「2016年度のラテンアメリカ地域はの経済状況は予測よりもさらに悪くなるだろう」と、語った。
昨年度のブラジルの巨大な腐敗スキャンダルに影響された経済停滞は、過去6年間で最悪の0.4%まで下落し、ブラジルの最悪の経済状況はマイナス経済が避けられない状態になっている。
また、同氏は、「ブラジル政府側から提出された情報とはまったく別の傾向を察知しており、一般に予告されているよりもさらに大型の経済崩壊を懸念している」と述べた。
ブラジル経済は昨年3.8%の下落となったが、回復の兆しはまったくなく、政府内腐敗のスキャンダルに影響され、まだ当分は続くものとみられている。
南米地域最大の経済規模をもつ国の経済と政治の危機は、2年前から火を噴いていたが、先週になって腐敗調査の結果がルーラ前大統領にまで及び、とうとう現大統領の弾劾にまで発展した。
今年こそブラジル経済は少し回復するだろうと予測されていたが、まだまだ時間がかかりそうだ。それどころか、民主主義崩壊の危険すら懸念される状態にまでなっている、と専門家は語る。
当機関の調査によると、ベネズエラとアルゼンチンも今年の経済はマイナス成長となる見込みである。ベネズエラに関し、去る12月に出された今年度の予想では、マドゥロ政権が直面している政治危機と、石油の国際価格の下落で、7%の経済縮小が予測されている。
アルゼンチンは1.6%の拡大が期待されていたが、当機関の調査では、今年はマイナス成長になる予測である。アルゼンチンは前向きな政権によって、回復の兆しを見せているとはいえ、実際の経済成長につながるには時間がかかるとみられている。