PBN コラム No.159 『パラグアイの“ビットコイン(bitcoin)”事情』
近年、様々なメディアが仮想通貨の一種“ビットコイン”の話題を取り上げており、パラグアイでも、これに携わる人が年々増えてきたように感じる。
また、PBN146号で紹介された『パラグアイのアキハバラ:エステ市』のように、エステ市はまさにその宝庫である。
まず、ビットコインの“マイニング”または“採掘”には、膨大な量の計算が必要であり、その演算処理を行うコンピューターとともに、動力としての“電力”が必要不可欠な生産要素となっている。
加えて、エステ市ではそのコンピューターやパーツが安価に提供されているので、安易にビットコイン・製造工房を構築できる。
まず、電力の値段だが、パラグアイの電力価格は南米地域でも比較的安く、商用または家庭用、そして消費量により価格は異なるが、キロワット当り約4~7セントで利用できる。
また大型のビットコイン製造工房を建築するには、コンピューターの電気消費量だけではなく、工房の“冷却設備”を動かす電力も必要になってくる。つまり、双方とも“電気”が要であり、“電力価格”が直接、ビットコインの発掘経費に影響している。
これが理由でブラジル人やアルゼンチン人、そして中国系やアラブ系が様々な規模で、エステ市でビットコインの発掘を行っている。
また、電気を消費し働く“コンピューター”には、ビットコイン採掘の演算処理を向上させるため、通常同一コンピューターに統合されているプロセッサー以外に、画像処理を助ける“グラフィックボード”を複数搭載し、ビットコイン採掘の効率化を計る。
エステ市ではこの“グラフィックボード”も大量かつ、安価に手に入れられる。
他にも、ビットコイン採掘に特化されたプロセッサを搭載した“マイニング機器”も入手可能である。なお、世界のマイニング機器の7割のシェアは、“BitMain”の“ANTMINERシリーズ”で占めている。
これらいろいろな条件のもと、エステ市のビットコイン採掘産業が盛り上がっていた。
しかし、それでも以前と比べると、ビットコイン採掘は難しく、利益率も低下しているようだ。結果、利益を出すには極力多くの機器を動かす“製造工房”の大規模化と、電力が安い国で稼働させる必要がある。
そのためか、エステ市で販売されているマイニング機器が、筆者が2017年、2018年に見た時と比べ大幅に減ったように感じられる。YM
参考データ
マイニング機器ANTMINER
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