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PBN No.207コラム『クリスマスのペセブレ』


 昨年は、PBN No.157のコラムでReyes Magos、いわゆる「パラグアイのこどもの日」について紹介した。この日は、聖書で語られているように、イエス様の誕生後、東方から贈り物を持ってイエス様の生誕を見届けるためにやってきた博士三人が、イエス様の誕生の場所に到着した日である。

 順番は逆になるが、その前の出来事がイエス生誕を祝うクリスマスであり、カトリック教徒が多いパラグアイでは一大宗教行事である。そして、聖書のストーリーに続くのが前述のReyes Magos(東方の三賢者)の到着である。

 現代では西洋でも東洋でも、クリスマスのシンボルと言えばクリスマスツリーであり、パラグアイでも街のあちこちで大型のツリー飾りが見られる。しかし、カトリック国家の多い南米ではクリスマスの到来を告げるシンボルはそれだけではない。家庭や商業施設、公の場でも大々的に用意されるもう一つの飾りが、イエス生誕シーンや東方からやってきた三賢者を再現した模型セットである、pesebre(ペセブレ)と呼ばれる物である。

 12月に入ると市場ではペセブレ用の土器の人形セットも盛んに売られるようになる。人形の形、色などのバリエーション、サイズも様々であり、一体が4~5センチの大きさのものから、70~80センチの大型のものまでが店頭に並ぶ。特に土器の生産・販売が盛んな地域や町では何ヶ月も前から出品される。

 クリスマスが近づくと、どこの家庭でもクリスマスツリーの飾りつけと同時期に、ペセブレのセッティングが各家庭のスタイルで始まり、人工や本物の土や葉や石を使ってイエス生誕が再現される。そこには各家庭の拘りが見られ、乳香の代替に香りの強いヤシの花、野菜やフルーツなど沢山の自然の恵みを供え、ヤシの葉で屋根を作り、地面には家畜小屋を再現するために乾燥草を敷き詰めるなどの手間や工夫がなされる。

 街の商業施設や公機関などでも1月6日の“Día de los Reyes Magos”の日まで飾られ、訪れる人たちもそれを楽しみ、写真を撮っていく。

 時にはクリスマスツリー以上の魅力があるので、シーズンならではの見ものとしてぜひ観賞に立ち寄って見てはいかがだろう。YM


市場で販売されているペセブレ用の人形


知人宅のペセブレ(小型)


ショッピングモールのペセブレ(大型、実寸大のスイカや果物)

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