PBN No.205コラム『国内最大カトリックイベント“Caacupé巡礼”』
様々な宗教において、徒歩で聖地を目指し参拝する風習は世界中にある。ユダヤ、キリスト、イスラム教におけるメッカ、エルサレムへの巡礼、日本におけるお遍路(四国八十八箇所)などは有名である。
特にイスラム教のメッカ巡礼では、体力と財力が許す限り一生に一度は果たすべき義務として、毎年世界中から数百万人の信者が訪れる。昔は交通網やインフラが整備されていなかったため、命がけの旅となることも多かったという。
パラグアイでは、アスンシオンから約55km離れたカアクペ市の教会、カアクペ大聖堂への参拝がこれにあたる。
毎年12月8日のミサに向けて国中から人々が訪れ、当日は大統領や著名人なども多く参加し、今年は15,000人以上の参拝客で広場が埋め尽くされたという。まさに国内最大のカトリック教イベントである。
カアクぺのマリア:
参拝のきっかけとなったある言い伝えがある。
カアクペの森に、インディオの彫刻家、ホセという若者が住んでいた。
ある日ホセは狩りに出かけると、誤って仲の悪い部族の土地に入ってしまった。
そこの部族の人に見つかって追われたホセは、森の麓の小さな岩陰に身を潜め、マリア様にお祈りをした。
「マリア様。お助けください。もし、わたしが助かりましたら、パラグアイ川にある一番固い木で、あなたの像をほってさしあげます。」
すると彼の体が透明になる奇跡が起こり、見つからずに助かった。
助かったホセは約束どおり、固い木でマリア像を心をこめて彫り上げ毎日お祈りを捧げた。
(イグアス日本語学校テキストより引用)
“パラグアイの言い伝え:カアクペのマリア”より要約
*諸説あり
この言い伝えが広がり、現在の慣習につながったと言われている。
今日では、日にちや方法にこだわらず、前後の週末にバスや車で参拝する人も多い。
私もルータ沿いを自動車で通った際、多くの参拝者を目にした。特に今年はCiudad del Esteの方から自転車で行く集団も多く、 Ultima Horaが取り上げたニュースによると、ブエノスアイレスから1,300km以上の距離を自転車を漕いでやって来たグループもあったという。
人々の目的は様々で、信仰目的のみでなく、健康祈願、学業成就、商売繁盛といった願掛けや、1年の感謝のための参拝するというような、日本で例えるところの初詣のような意味合いがあるのだろう。
こういった伝統行事は、聞くよりも体験した方が勉強になる。私も近い将来挑戦したい。JA
ブエノスアイレスから自転車で参拝したグループ
参拝客で埋め尽くされる広場
参照:
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