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PBN No.198コラム『フライドポテト専門店「La barra」』

 アスンシオンの旧市街セントロは、植民地時代のヨーロッパ風の建築が今に残る歴史的な街。地方都市のようなこじんまりとした佇まいではあるが、古い景観を利用した開発計画もあり、観光客やビジネスマンをターゲットにしたお洒落なカフェも随分と増えた。

 セントロという街は特に外国人に人気が高く、ラテンアメリカ各国からの移民たちも多く暮らしている。徒歩圏内に集約されたスポット、坂道から望むパラグアイ川、美術館や博物館といった文化施設など、新市街にはないパラグアイならではの良さがここにはある。

 今回はそんなセントロの中心にあるパンテオン・デ・ロス・エロエスに程近い、アサラ通りのフライドポテト専門店「La Barra」を紹介したい。おそらくパラグアイで唯一のフライドポテト専門店である。


 チリ人のオーナーは大学卒業後、サンディアゴの喧騒から逃れるようにパラグアイに移り住んだという。ボールに入れたフライドポテトを、朝食や昼食として提供するアイデアを思いつき、開業した。注文すると、その場で皮付きのじゃがいもを専用機器でスライスし、調理してくれる。冷凍ポテトが各店の主流である中、この専門店では、生のじゃがいもを使用している。調理のための一手間が、待ち時間のアトラクションとして楽しめるような店内設計にもセンスを感じる。ネギやチーズ、牛肉やベーコンをトッピングされたボール入りのフライドポテトを、フォークでいただくスタイルは、日本の「丼物」にも近い。フレーバーは全6種、全て15,000Gsである。

 夜中に一杯ひっかけながら味わいたいメニューではあるが、全く新しいカジュアルなスタイルの見た目から、若者のお洒落な南米風カフェランチとして注目したい。


 サブメニューとしてトースト付きのオムレツやエンパナーダ、モーニングにはベジュとコシードも楽しめる。

 都会のストレスから逃れてここに来た。この国に滞在中の私達日本人も同じような思いを少なからず持っている。国によって生活事情は違えど、新天地で送る暮らしの中で生まれるアイデアや移民精神、いわば異文化に触れ、生きることで養われる寛容さは、接客面だけではなく、文化一般において、この土地の新たな風になりうると感じさせられる。まだまだ閉塞的なアスンシオンの国際化、多様化への引き金として、私達移民の存在意義は思いの他大きいと言えるだろう。これまで見たことのなかったランチスタイルである「南米流丼物」フライドポテト・ボールを食べながら、ふとそんなことを考えた。TT


ボールに入ったフライドポテトとトースト付きオムレツ


お洒落な店内。オーナーの左側、壁に設置されている器具がジャガイモスライサー。


白と赤、統一感のある店内。オーナーそっくりのロゴもPOPでかわいい。


La Barra

営業時間:月- 水 7:00-16:00

電話番号:0991389736

住所:Gral Díaz e/ Ntra. Sra. de la Asunción y Chile

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