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PBN No.196コラム『国立バレエ団体のダンス公演「Bienvenidos al jardín del pantanal』


 9月最後の週末、セントロにあるアスンシオン市立劇場にて、コンテンポラリーダンスの公演、「パンタナールの庭へようこそ」が二日間に渡り2公演行われた。これは、アートプロジェクトのサポートや運営を担う、非営利文化団体のプロバレエ財団と、国立文化事務局がプロバレエ財団の支援により設立した、パラグアイ国立バレエ団体の初の舞台公演である。キャストの演技指導・振付にはスペイン人のラモン・オラー氏が迎えられ、彼らの作品に命が吹き込まれた。スペイン、バルセロナのエスパラゲラ出身のオラー氏は、コンテンポラリーダンスカンパニーの振付師兼ディレクターであり、スペインやパラグアイ、ニューヨーク、スェーデン、オランダ、プエルト・リコにて幾多もの公演を手掛けてきた。両日ともにスペシャルゲストとして、オラー氏とは30年来の仲である、スペイン、カタルーニャ出身のシンガーソングライター、マリナ・ロッセル氏が招かれた。

 国立バレエ団の今回の舞台は、ロッセル氏の甘い歌声とグラシエラ・メサ氏の緩やかなダンスから始まった。パンタナールを目指し、船が動き始める。舞台上には、水を垂らす演出のある階段や扉があり、ダンサーたちは場面が切り替わる度、衣装を少しずつ変化させた。どこにでもいるような青年たちの現代的な姿から、生成りのシンプルな衣装へ変わり、大きな布を身にまとい、自然の荒ぶる姿や静寂といった、目に見えない大きな流れを表現した。決して大きくはない劇場だが、ダンスが激しくなるにつれて、セリフはなくとも息遣いが伝わってくる距離で迫力の演技を鑑賞できた。

 この作品の大筋は、“川が海に着くと戻る方法がないことを実感し、残る唯一の方法は先に進むほかない”というものだ。近年、大きく取り上げられる事もない仕事をしてきた、リハーサルスペースさえない小さなバレエ団たちの境遇と似ている。

 劇中の歌や詩は、カタルーニャ語とグアラニー語が半分ずつ使われ、途中、パラグアイ伝統のダンスも取り入れられた。パラグアイとコンテンポラニーダンスが融合した素晴らしいショーにより、両日とも劇場の座席は満席であった。

 先週4日間に渡って開催された、市主催の「ASUjazz」は、今年で4回目の開催となるジャスコンサートイベントだ。毎日異なる会場で様々な楽団の演奏が楽しめた。カテウラ・リサイクル楽団などの国内のバンドから、ドイツ、北米、アルゼンチンなど国外のバンドも招待した豪華な音楽イベントが、入場無料というのも素晴らしい。

 春のアスンシオンは芸術に触れることができるイベントで大変盛り上がっている。週末になると何かしら催しのあるアスンシオンで、比較的過ごしやすい春の夜長を楽しんでみてはいかがだろうか。IT




ダンサーたちと振付師ラモン・オラー氏、歌手マリナ・ロッセル氏。


Teatro municipal Ignacio A. Pane

住所: Pdte Flanco, Asunción

TEL:+595 21 445 169

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