PBN No.194コラム『パラグアイのアルパとアフリカのコラ』
9月中旬からSemana del Arpaとして、アスンシオン市内で様々な催しが行われてきた。その一環として、半年に渡り南米でコンサートを行い、7月にはパーカッショングループの公演で多くの人々を沸かせたセネガルの団体「Sonidos de Africa」に所属するアーティストが再びパラグアイを訪れた。
パラグアイに暮らす利点として、機会は少ないものの世界のアーティストのコンサートやワークショップを無料もしくは低価格で体験できることがある。
今回もパラグアイ、セネガル両国政府のサポートにより、同団体の国内全ての活動への参加は無料となった。
日本では比較的なじみ深い打楽器、Djembe(ジャンベ)もここでは見かけることも少ない。ましてや本場セネガルのアーティストの演奏を見る機会はこれを逃してはないといえる。
「Visiones de Senegal」という企画のもと、2度目のパラグアイ公演となった今回は、アルパウィークに合わせて、セネガルのハープであるKora(コラ)奏者を迎えたコンサートを中心に、パーカッション、ダンスなどのワークショップが開催された。
団体が掲げるのは「Sin Fronteras」、音楽に国境はないという理念のもと、セネガル政府のサポートで世界各地の音楽家たちとのコラボレーションを行っている。
中でも植民地時代に多く行われていた奴隷売買により、海を渡った人々の子孫が暮らす南米大陸は、彼らにとっては重要な活動拠点である。
アフリカの伝統祭をルーツとするパーカッションやダンスからは、広大な自然、大地への敬意とそこに生きる全ての生命の躍動感が感じられる。その迫力とエネルギーは圧巻で、誰もが体をリズムにゆだねてしまうような不思議な魅力がある。
そんなビートの上で、2種類のハープ、パラグアイのアルパとアフリカのコラが共演を行った。
ポルカの特徴的なリズムを刻む太いベース音と、ギターよりもなめらかでパワフルなメロディーを奏でるパラグアイのアルパ、対照的にグルーブを強調する「間」のあるベースラインと時に奥行きのあるアンビエント音楽の様に、時にエレキギターの様に鋭いメロディを奏でるコラ、同じハープといえど、両者の特徴の違いがはっきりと明るみになる興味深い試みであった。
広い世界には文化の違い、民族の違い、宗教の違いなど、多くの違いが存在する。しかし、音楽において線引きはない。違いを称え、共存する術をいとも簡単に、多くの人の前で示すことができる。歴史や伝統は共有するためのものである。そんなことを教えてくれるセネガルのグループの世界での活動に期待を寄せたい。日本の和太鼓や伝統楽器との共演が実現する日を心待ちにして。TT
パラグアイのアルパ、セネガルのコラ
初心者向けのパーカッションワークショップ
短い滞在期間に多くのコンサートが行われた
「Sonidos de Africa」所属アーティストBabacar y los Diengoz、Reggaeやラテンビートの影響も感じられるPOPなパーカッション主体のグループ
Sonido de Africa:https://sonidosdeafrica.wordpress.com
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