PBN No.168コラム『パラグアイ版の”ライドシェアサービス”』
パラグアイでも昨年末から、“ライドシェア”サービスを提供する“UBER”が自家用車を活用した移動サービスを正式に開始した。
その半年前に国内版の同種サービス“MUV”が稼動しており、つまり“タクシー”、“MUV”に加わり“UBER”が移動サービス市場での競争に参入したのである。
パラグアイのタクシー業界は主に個人営業で、タクシー駐留所の権利を持つオーナーが自身の車でドライバーを務めるか、または運転手を雇用し運用するのが一般的だ。営業時間は個人々々で決める専門職なので、日中、夜間、休日を問わず働いている。
一方のMUVやUBERは、個人が時間のある時に、好きな場所でサービスを提供するもので、いつでも、どこでも空車が見つかるとは限らない。必要なときに近くに空車がなければもう一方のアプリで探すか、最終的にはタクシーに頼ることになる。
各サービスの使用車両は、近年中国や隣国で生産される小型車の値段が比較的安くなり、タクシーをはじめ新車が徐々に増えてきた。しかし、まだその多くがチリ経由で日本から輸入されている中古車であるのが実情だ。
『移動サービス』料金はタクシーが一番高く、続いてMUV、そしてUBERが一番安い。MUVも従来のタクシーよりは安いがUBER比で4割高と、ドライバー視点で値段が設定されていて十分な利益が出る仕組みになっている。従ってUBERよりも多くのドライバーが登録して、応答が早い。しかし、筆者の感覚ではアスンシオン市内を離れると利用できる車が少なく、時間帯によっては空車が見つからないこともある。
移動サービス料金は、タクシーがタクシーメーターを利用し課金するので、走行距離と走行時間で料金が決まる。よってタクシーのドライバーはお客の同意の下、混雑するルートを選ぶか、少し遠回りをして早い道を選べる。また悪意があれば遠回りをして高い料金を請求することもある。この観点からみるとMUVやUBERではあらかじめ値段が決まっていて安心である。更にパラグアイのように住所があいまいな地域や、旅行者で言葉が通じない場合でも便利である。
料金の支払方法はタクシーでは主に現金のみだが、MUVやUBERはカード決済が可能なのも特点である。しかし、正規領収書がほしい場合は、タクシーを含め事前に確認するのがベストである。
ユーザー視点では競争が増えることは好ましく、スマホをツールとしている若い世代には利便性が高まり、さらに出費も抑えられる。今後の移動サービスの拡大と普及に期待したい。YM
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